PoE(Power over Ethernet)向けDC-DCコンバーター

目次

1.PoE(パワー・オーバー・イーサネット)とは

2.PoEの歴史

3.IEEE規格とは

4.POEアプリケーションに適したおすすめのDC/DCコンバーター

1.PoE(Power over Ethernet)とは

PoEとは「Power over Ethernet」の略で、ネットワーク接続デバイスへの電力供給をイーサネットケーブルを通じて行う技術のことを指します。電源を必要とするデバイスを、電源へのアクセスが困難な場所でも配置することが可能で、別途電源ケーブルを用意する必要がないので、設置場所の選択肢が広がり、設置コストも大幅に削減できます。

この技術により、既存の Cat.5 イーサネットケーブルのインフラをそのまま利用し、IPベース端末(IP電話、WLANアクセスポイントAP、IPカメラなど)へのデータ信号の伝送と電源の供給が同時に行えるようになります。

下図のように、フロントエンドがパワー・オーバー・イーサネット・スイッチ、バックエンドがパワー・オーバー・イーサネットの負荷であるシステムを例に考えてみましょう。この場合、データケーブルと電源ケーブルの設置が一体化されるため、その設置に伴う複雑さとコストが大幅に軽減されるのです。


出典:FS COMMUNITY "Demystifying PoE Network: Features, Standards, Types, and Common FAQs”

2.PoEの歴史


出典:SMI JAPAN "PoE(Power over Ethernet)向けDC/DCコンバーター”

「Power over Ethernet」(PoE)が初めて登場したのは、インターネットを介した音声通信(VoIP)の電話に電力を供給するという課題を解決するためでした。伝統的な電話は、通話をするための専用のケーブルから電力を得ることができました。一方で、急速に普及しつつあったVoIP電話は、企業のローカルネットワーク(LAN)を使って通話を行うので、アダプタを介して電源に接続する必要がありました。これは、万が一電源がなくなった時に通話もできなくなるという問題をもっており、この問題を解決するために、シスコという通信機器メーカーが新しい技術を開発し、イーサネットケーブルを通じて48VDCの電力をVoIPに供給することができるようになりました。

そして、この新技術は、電子技術の国際標準化を行う組織であるIEEEの注目を集めました。IEEEは、全てのメーカーがこの新技術を製品に適用できるようにするための標準規格を作ることを決定しました。この規格作りは1999年から始まり、数社の大手技術企業が共同で取り組みました。そして、2003年に最初の規格「IEEE 802.3af PoE標準」が認められ、その後2009年には、より大きな電力を扱うための新たな規格「IEEE 802.3at」も認められました。


出典:Cisco

2009年の新規格承認以降、エンジニアたちはさらに大きな電力を必要とする新しいデバイスの追加を求めてきました。そして、そのニーズに応える形で、2018年末には新しい規格「IEEE 802.3bt」が認められました。これにより、デバイスに最大71.3Wの電力を供給し、一方で送信側から90Wを送ることが可能となりました。

3.IEEE規格とは

IEEE規格は、電子技術と電気工学に関する一連の国際的な標準で、Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)によって設定されています。これらの標準は、機器やシステムが正しく、安全に、互換性を持って動作することを保証するために存在しています。PoEは、供給できる電力量の違いにより下記の通り異なる規格が定められています。

  • IEEE 802.3af(PoE):最大15.4ワットの電力供給。
  • IEEE 802.3at(PoE+):最大30ワットの電力供給。
  • IEEE 802.3bt (PoE++):最大60ワット(タイプ3)または100ワット(タイプ4)の電力供給。


出典:STH FORUMS "Key Differences of PoE vs PoE+ vs PoE++ Switches a STH Guide”

元々、PoEは、VoIP電話や無線アクセスポイントといった小電力のデバイスに電力を供給する目的で開発されました。しかし、社会がデジタル化するにつれて、より多くのデバイスがネットワーク接続を必要とし、それらのデバイスの電力消費も増加しました。

インターネットオブシングス(IoT)の進展は、多くのセンサーやアクチュエータがネットワークに接続される状況を生み出しました。これらのデバイスに対して個別に電源供給することは、場合によっては非効率的であったり、技術的に難しいことがありました。また、高解像度の監視カメラや新世代のWi-Fi規格のアクセスポイントなど新たなネットワークデバイスは、従来のPoE規格では供給できないほどの電力を必要とするようになりました。

このような需要の増加とともに、PoEの能力を大幅に向上させる新しい規格の必要性が高まったため、IEEE 802.3bt規格が登場しました。この規格により、一つのケーブルを通じてデータと電力を同時に送信できるようになり、それによって配線の複雑さが大幅に削減され、設置や運用のコストが下がりました。また、中央から電源を管理することが可能となり、エネルギー効率の向上やリモートでの電源管理が可能になりました。下記の図はエンドロードデバイスごとに異なる規格を表しています。


出典:STH FORUMS "Key Differences of PoE vs PoE+ vs PoE++ Switches a STH Guide"

4.PoEアプリケーションに適したおすすめのDC/DCコンバーター

PoEの標準(IEEE 802.3)には、供給可能な電力の最大値と、送電するための電圧レベルが定められています。PoE++ではイーサネットケーブルを介して最大100W近い電力をデバイスに供給することが可能となりました。ケーブルの最大長(100メートル)内であれば、任意の位置に機器を配置できます。

しかし、長距離の送電には電圧下降が発生します。これを補うため、そして電力供給の効率を向上させるために、PoEでは一般的に高い電圧である48V(PoE+の場合54V)を使用します。電圧が高いほど、送電による損失を抑えることができ、長い距離を経てもデバイスに適切な電力を供給できるためです。電力が送られる途中で損失が生じても、最終的にデバイスが動作するために必要な電圧を確保することができます。

MINMAX社のMKZI40シリーズ、MRZI100シリーズ、MRZI150シリーズは鉄道のアプリケーションをターゲットに設計された高性能な絶縁型DC-DCコンバータです。これらのシリーズは、汎用性の高い2″x1″パッケージ、もしくは 1/4ブリック形状のパッケージを採用し、最大出力電力は40W~150Wに達します。鉄道用途で一般的な36-160VDCの入力電圧範囲をカバーしており、さらに36VDC電圧での定電圧起動も可能です。また、出力電圧は5V、12V、15V、24V、54V(±12V、±15V for MKZI40)から選択でき、特に54Vの出力電圧はPoEのアプリケーションに適しています。

上記シリーズは最新の回路トポロジーを用いており、効率は最大で90%に達します。入力電圧や出力電圧、さらには環境温度が急変した場合でも、全体的な効率を維持しつつ、安定した性能を提供します。また、起動時の100%のシステム負荷や電源要求を満たすことが可能で、迅速に定格入力電圧を供給し、最適化されたシステム負荷と駆動力要求を満足させます。

また、これらのシリーズは 絶縁性能も優れており、2000VAC~3000VACの高絶縁耐圧と強化絶縁システムを有し、雷撃による末端システムの損傷や人的被害を効果的に防止します。さらに異常保護機能として、入力電圧保護、出力過電流保護、出力ショート保護、出力過電圧保護、および温度超過保護を搭載し、異常が発生した場合に電源モジュール自体と末端システムを即座に保護します。さらに、5,000メートルの高海抜での運用をサポートし、鉄道規格EN50155(IEC60571)、防火試験規格、及び安全規格IEC/EN/UL62368-1の認証を取得しています。

上記の理由からMINMAX社のMKZI40、MRZI100、MRZI150シリーズは、その信頼性、効率性、そして安全性から、あらゆるPoEアプリケーションのための理想的な電源ソリューションとして重要な役割を果たすことができると考えております。


出典:SMI JAPAN "PoE(Power over Ethernet)向けDC/DCコンバーター"

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